初心忘るべからず 

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御回在に行って参りました!

本当に久しぶりになります。

1年半ぶりになりますか?

新型コロナウイルスが蔓延して、緊急事態宣言が出てからというもの、宗教界においても大変な影響が出ることになりました。

何といっても宗教行事が思うようにできないということが一番でしょう。

これはどこの宗派をとっても全く同じ条件です。

とりわけ私たち融通念仏宗にとっては、御回在という本山と末寺檀家を直接結ぶ行事が不可能になるという、本当に辛い日々が続きました。

ようやく9月の末から末寺での回向のみという変則的な形で再スタートすることができました。

まずは小さな一歩から・・・といったところなんですが、唱導師でお供をさせていただく私としては、久しぶりの御回在ということで、感覚が随分と鈍ってしまっていることに気付かされました。

加えて、いつも通りの流れとは異なるため、その都度自分の中で再確認しながらのお供でした。

早い話が完全な初心者。

もちろん、今までも常に緊張感をもってお供をさせていただいていたのですが、さらなる緊張感を強いられることになりました。

還暦を過ぎて胃が痛くなる緊張感!

体に堪えますね。・・・でも、この緊張感が改めて私の中の忘れていた「初心」というものを思い出させてくれました。

世阿弥の「風姿花伝」には「初心忘るべからず」という有名な言葉がありますが、この「初心」という言葉には、「初めての時に感じた、恥ずかしい思いや悔しかった思い」という解釈もあるそうです。

初心者の時に味わった色々な失敗や悔しさを覚えているからこそ、人間は成長することができるのだということ。私たちは常にこの「初心」というものを忘れずにいたいものです。

歳とともに「初心」は少しずつ薄れていくものです。そして、慣れて緊張感が薄れた時にこそ大きな落とし穴が待っているもの。

今回の御回在では本当に大切なことを教えていただきました。

夜明けが遅くなりました

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早いもので9月ももうお終い。お彼岸が過ぎ、気が付けば昼間よりも夜のほうが長くなってきてるんですよね。

毎朝4時半に起床している私はまだ暗い中を本堂の戸を開け、身支度を整えて本堂の勤行を始めます。

夏至の頃は4時半でもかなり明るくなってきていたのですが、秋分の日を過ぎると6時近くならないと明るくなってくれません。

6時前には勤行を終え、6時の時報とともに釣鐘を打ちます。

ちょうどお彼岸の最中のことでした。釣鐘を打つ前に山門を開けたところ、幼い女の子二人を連れた若いお母さんが門の前に立っておられました。

朝6時前にお寺に行けば、釣鐘を打たせてもらえると聞いて、子供たちと歩いて来られたとのこと。

「どうぞどうぞ。」と、子供たちにもついてもらい、満足して帰って行かれました。

私のお寺では、たまにこういった風景が見られます。

そして、子供連れでやって来られる方がある度に、私は背筋がシャキッと伸びるような感覚を覚えるのです。

お正月と旅行中を除いて、毎朝欠かさず釣鐘を打ちます。

疲れが溜まって体がだるい時もあれば、寝不足で頭がぼんやりとしている時もあります。

それでも朝6時の釣鐘をちゃんと聞いていて下さる方がおられるのだと思うと、おのずと背筋が伸びてくるのです。

「疲れた姿は見せられない!」

お坊さんの矜持ですね。

これからはもっと夜明けが遅くなり、6時になってもまだ暗い日々が続くようになります。高台にある私のお寺からは遠くにある家までよく見渡せます。

6時に釣鐘をついた途端、まだ暗闇の中にある家々に一つまた一つと明かりがともっていくのがよく見えるのです。

「今日もまた沢山の方々がお寺から聴こえる釣鐘の音を待っておられる。」

そんなことを思いながら、明日もまた薄暗い中を頑張ります。

油揚げ LOVE

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今まであまり触れてはこなかったのですが、私は油揚げ(薄揚げ)が大好きです。

もちろん、こだわりがあります。・・・と、言うよりもかなり味にうるさいです。

朝食で、焼いた薄揚げが二枚もあればその日は最高の気分でスタートが切れます。

ただ、今まで私の舌に合格したお店は僅か4軒。

元々私の母親の実家の近くにあった豆腐店の味が私にとっての最高の味で、わざわざ大阪まで50枚単位で送ってもらっておりました。

残念なことに、ここの御主人が病に倒れられ、跡継ぎが無かったためお店をたたまれたのですが、その時はわざわざお手紙までいただきました。

「どんだけ食べとるねん!」と、突っ込みを入れられそうですが、困ったのはその後のこと。

このお店の味に匹敵するだけの油揚げがなかなか見つからなかったのです。

色々と探し求めたのですが、何年もかかって、ようやく数軒が見つかりました。

最近はさすがにまとめて送ってもらうことは少なくなりましたが、先日久しぶりにまとめ買いを致しました。

それはこの間寄せていただいた岐阜県は高山市でのこと。

早めに宿に着いたので、一人街中に出てお気に入りの豆腐屋さんに。

コロナ禍のため、観光客はパラパラ。開いているお店もあったのですが、それでも他のお店には見向きもせず一直線。

飛騨牛か油揚げか?

私は油揚げ!

それはさておき、油揚げといえば大豆にお水、そして揚げる時の油。

焼いた油揚げを口に入れた時にジュワッと広がる昔ながらの味がなんとも言えない幸福感を与えてくれます。

料理に手間がかかることもなく、しかも郷愁すら感じさせてくれる品というのは、現代のカップ麺や冷凍食品には決して真似のできないものであります。

これは決して今のインスタント食品がダメだということではなく、シンプルでチープなものの中にも素晴らしいものが有るのだと気付いて欲しいのです。

昔ながらの製法にこだわった食べ物が少なくなっている今こそ、この貴重なお店にもっともっと頑張ってもらいたいと思います。

お願いだからお店が無くならないでくださいね!

油揚げ 命。

・・・と、言うわけで、しばらくはご機嫌な毎日を過ごせそうです。

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