衣替えの季節です。
奥にしまい込んだ夏物のシャツやズボンを防虫剤の匂いとともに引っ張り出して広げます。
最近服を買うことが減りました。若い頃と違い、流行に流されることも無くなってきたこともありますし、身体が大きくなったり小さくなったりすることもなくなってきました。
毎年のように服を買っていた時代は周囲の目を気にしたり、自分の成長に伴って服が必要だったのです。それが４０歳を超えた頃にふと１０年選手の服が目立ってきたなと思いました。僧衣に至っては大事に使っているのもあるでしょうが１０年、２０年選手が今も活躍しております。
ところがそんな生活が当たり前になってまいりますと、仏教で大切にしている無常ということが薄らいで感じられるのです。ふと今日と同じ明日がきて、明日と同じ明後日が来るのだろうなと心に油断が出てきます。
ほんとうは今日と同じ明日が来て、１０年前の服が何の問題もなく着ることができるこんなところにこそ幸せを感じ、平穏無事でいられることへの感謝を持たねばならないのだと思います。（和）
（撮影：脇坂実希）
