夜明け前の長い暗闇を破り、東の空が白み始め、鳥たちのさえずりの声が聞こえてきます。
しばらくするとまばゆいばかりの太陽の光が差し込み、新しい朝の始まりを告げます。
そして、次第に車の音や人の話し声が聞こえてきます。
早朝の静寂から一瞬にして活動の世界に変化し、同じ姿を留めない朝が来ます。
昨日までの悩みや不安も、朝の新鮮な空気とともに洗い流され、すがすがしい朝を迎えます。
このように、光・音・気配、そして心境に至るまで、あらゆるものが絶え間なく変化し続けることを「無常」といいます。
本宗の教えに、
「朝露(ちょうろ)たちまち消え、電光(でんこう)すなわち過ぐ、幸いなるかな、一日の光景(こうけい)を得て、一日の仏名(ぶつみょう)を称し、往生(おうじょう)を験得すべし」
とあります。
人生とは、朝露が落ちて消えるように、また雷の一瞬の光のように、短いものである。
幸いにも今日一日の命を得たことを喜び、明日とはいわず今日一日の念仏を称えて、さとりを体得しましょう。
いま、この瞬間を大切に、感謝と喜びの一日を過ごしてください。(昭)
(撮影:脇坂実希)