精霊馬

近しいひとを亡くした者は、誰しも「亡くなったひとが幸せになってほしい」そう願うものです。仏教的に表現すると、「極楽浄土に往生してほしい」となります。

 

だけど往生したままだと少し寂しい、そう思うのも人情です。

 

「亡くなったひとには極楽浄土に往生してほしい、だけどたまにはこちらに戻ってきてほしい」

 

「たまに」の願いが、仏教の教えと重なり、お盆には亡きひとが里帰りをする、そんな信仰が生まれました。

 

そうなると、更に、「亡きひとに戻って来てほしい、なるべく早く」となるのが、これまた人情です。

 

今回のテーマの「精霊馬」は、そんな思いから生まれました。「精霊馬」と書いて「しょうりょううま」と読みます。キュウリに4本足が付いたお供えもの、亡きひとがお戻りになる時に乗るとされます。「お戻りなる時は早く」そんな願いが込められた、まさに早馬です。

 

ちなみにお盆が終わり、極楽浄土に帰られる時は、名残を惜しんでゆっくりと、ナスに4本足、少し太め、こちらは牛を表します。

 

なんともユーモラス。でもこのユーモラスが大切なんですね。

 

私たちは近しいひとが亡くなった時に悲しみに襲われます。もちろんその悲しみは大切です。悲しむことで亡きひととつながれるんだから。そうは言っても悲しみばかりだと心が持ちません。そこに笑いがないと。精霊馬は私たち日本人が培った知恵かも知れませんね。

 

私たちは亡きひとと接する時に、「南無阿弥陀仏」と口にします。仮名で書くと、なむあみだぶつ、なんとも柔らかい響き、心が癒されます。そこにも、遺された者に対する、先人の深い知恵があるのかも知れませんね。(丈)

(撮影:脇坂実希)

茅の輪

6月に入ると大きな神社やお寺の境内に茅(ちがや)やスゲ、薄(すすき)などで拵えた大きな輪が立てられます。

茅の輪と呼ばれるこの輪を潜り抜けることで体に溜まった穢れを落とすことが出来ると言われてきました。

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てるてる坊主

梅雨の季節になりました。

梅雨とは元々、雨でじめじめすると黴が生えやすい事から、黴をもたらす雨と書いて黴雨(ばいう)と言われておりました。しかし余りにも言葉が悪いので、発音が同じ梅の字を当てて梅雨(ばいう)と書き、梅の実が熟す頃に降る雨という意味になったと言われております。

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田植え

去年(こぞ)の実は 今年の種となりにけり 今年の実法(みの)り 来ん年の種

目前の実りを見て 二宮尊徳さんがお詠みになったです

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門前の理髪店

まだまだ寒さが残る3月初旬の頃から御出向され

3月、4月、5月と河内の各在所をお回りし

5月29日ようやく無事に御本尊と供奉員が共に本山にお帰りになられます。

さて本山の南門の近くには長年営まれている散髪屋さんがございます。

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万部法要

五月晴れの光がやさしく、新緑が目に美しく映え、風さわやかなこの季節に、毎年 融通念佛宗 総本山 大念佛寺の最大の伝統行事、『万部法要』が行われる。

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