田植え

去年(こぞ)の実は 今年の種となりにけり 今年の実法(みの)り 来ん年の種

目前の実りを見て 二宮尊徳さんがお詠みになったです

ご存知のように 二宮尊徳さんの通名は二宮金次郎 農村復興に尽力なされ 学問にも熱心に励まれました

 

この詩は 日照(ひで)りに台風・寒波にと 難儀多き年であっても こうして立派に育った稲穂が見える

 

良い実には 良き種がつき その種を蒔けば また良い実ができて 良き種を生む

たとえ それが小さき種であっても 肥やしをやり 目を配り 大事に 大切に育ててやれば 良き実をつける…

 

何事にも その姿となる理由があると云う御心です

 

この詩のとは 詩に隠れる良い土に肥料に水 お日様と云った栄養肥やしです

 

過去現在未来因縁によって繋がり との結びつきによって 良き実りが生じる…

 

因縁生起という言葉があります

良き種を蒔き 実をたくさん付けた穂が 頭を垂れるように 私達も頭を低く 相手を敬い暮らすなら 仏法僧利益の実は 自ずと育つという意味です

 

田に水が入り そこにか細き苗が植わる

大風・大雨といった難儀を越えて 少しずつ少しずつ大きくなった苗

気づけば土肌は消え 田一面を緑の稲が覆います

 

そして秋…

よく育った稲穂のように 私達も心に良き種を巻けば 良き実りを得ることができる

そう目前の姿を師として暮らすことができるなら ほんの少し豊かになった自分と出会えるかも知れません(溪)