「小豆粥」と言えば、何を想像されますか。
小正月(1月15日)での食事、特別な食事、家族団らん、伝統的行事の食事、何かを達成した時などではないでしょうか。
小豆粥は、無病息災を願って頂く行事食です。
日本では古来から小豆の赤色には邪気を払う神秘的な力があると信じられています。よって小豆粥は無病息災を願ってたべるような風習があります。
赤飯も同じように魔除けや縁起担ぎの意味がありますが、誕生日のお祝いとか結婚式とか、ちょっとしたお祝い事で頂くような慣習になっている食事です。
一方、小豆粥は、願いがこめられた食事です。
それ故に、伝統的な行事を達成した時に、小豆粥を頂けるのです。
ここ総本山 大念佛寺では、毎年11月14日に十夜法要が執り行われます。その法要行事にご参詣いただいた方々には、法要終了後に小豆粥が頂けます。
十夜とは、十日十夜を略した言葉で、本来は十日十夜 昼夜を問わず、ひたすら御念仏を唱えるという厳しい修業をする行事です。十日十夜、食事もしないで、寝る事も許されず、ひたすら御念仏を唱えると、あの極楽浄土で千日間修行したことよりも優れているのです。
極楽浄土での千日間の修行より尊いとは、どういう事でしょうか。
十日十夜の修行は、この現世では大変難しい事です。十日十夜の間、飲まず、食わず、寝ないとは、まず考えられない、凡人では出来ない修行になります。
一方、極楽浄土は、苦しい事、悲しい事、辛い事、またなんの争いや憎しみも無い世界です。それは、それは心静かに、穏やかに阿弥陀様のもとに過ごす事ができます。
ですので現世の十日十夜の修行は、極楽浄土での千日間の修行よりも尊いのです。
しかし、出来ないからと思って諦めてはいけません。
出来ないからこそ、悟りに近づく努力が必要なのです。十日十夜の修行が難しくても、少しでも努力をしようとする御心が尊いのです。
たとえ、わずかな時間でも、極楽浄土の阿弥陀仏さまの事を強く念じ、御念仏を唱える事が大事なのです。
少しでも阿弥陀仏さまの御心に触れたいとの強いおもいが大事なのです。
少しでも精進する志が大事なのです。
千里の道も一歩からとのことわざが有ります。
そのことわざの通り、まずは少しだけでも始めましょう。
一日だけでも、いや半日だけでも、いや一分だけでも御念仏を毎日唱え続けませんか。
そのあとの小豆粥が、とっても美味しくなりますよ。
胃腸にも優しい、心にも優しい、無病息災の願いがこもった伝統食 小豆粥を十夜法要のあとで頂きましょう。(寿)
(撮影:脇坂実希)