八尾の御回在

3月3日、御出光の河内御回在。 河内の市街地を回り、青葉が芽吹く4月下旬。 河内御回在は山場を迎える。

八尾市、恩智谷。

ここは河内でありながら連日坂道が続く難所である。

朝護孫子寺の山の反対側、生駒山系の南西麓からはじまり、高安山を10日間かけて十三峠の神立へと移動する。 その間、毎日坂道を上っては下りるを繰り返す。

名残桜もいつしか青葉に変わり、冬物の衣がとても暑く感じるようになり、夏衣が待ち遠しくなる頃である。

新緑に包まれた坂道の上から大阪平野を見おろした景色は素晴らしく、天気が良ければ阿倍野ハルカスまで一望できる。

4月末、初夏の風の訪れとともに、河内御回在は万部法要のため、10日余りの休みを迎える。 移りゆく季節に追われるようにして八尾の御回在は過ぎていく。

「いつまでこの坂を上ることができるかな」

私が黒衣の僧中で回り始めた頃、紫の導師さんがふと呟いた言葉を今、紫の衣を着た自分が心で呟いた。(明)

(撮影:脇坂実希)

 

桜吹雪

門前の桜の木の傍らに、老婦人が立っている。

夫の位牌を胸に、木を見上げ….

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紫金職

融通念佛宗において一年の間に執り行われる法要は幾つもあるが、とりわけ万部法要(5月1日~5日)、元祖忌(2月26日)、中祖忌(7月7日)、再興忌(3月5日)は多数の僧侶が出仕する特別な法要である。

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お水取り

三月上旬、華厳宗大本山 東大寺二月堂では、お水取りの呼び名でも知られる「修二会」が執り行われます。

水取りや 籠り(こもり)の僧の 沓(くつ)のおと 松尾芭蕉

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良忍上人

京都の奥座敷、大原に建つ三千院。

その塀沿いに、小川の流れに沿って坂道を上ること5分ほど。

少し寂れた山門が見えてくれば、そこが来迎院である。

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冬の本堂

朝、畳の部屋から素足で木の床の廊下に足を下ろすとその時の気温がわかります。普段は何も思いませんが、5度を下回ると、床に足を乗せた瞬間に「今日は冷たいな」と感じます。私のお寺ではどんなに寒くても堂内が氷点下まで下がることはまずありません。

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