早いもので令和四年も残すところあと何日か。
今年やり残したことはありませんか?
今さら慌てても仕方がないのですが、月日が経つのは本当に早いですね。
「師が走る」と書いて「師走」。
その字の通り、私たち僧侶も慌ただしい日々を過ごしています。
年が変わるということは、私たちにとって様々な物事のリセットを意味しているように思います。
だからこそ、大晦日までにやり残したことを片付けたり、マイナスだったものを何とかプラスにして、気持ちよく新しい年を迎えようとするのではないでしょうか。
年末の大掃除もその一つですよね。
そしてもう一つ、師走の大仕事といえば、年賀状書き。
近年は年賀状離れが進んでいると言われていますが、例え携帯電話が普及して、メールやラインといった形で新年のあいさつを送ることが増えたと言っても、やはり丁寧にあて名書きされた年賀状を頂いた時の気持ちは、また特別です。
私の為に筆を執っていただいたのだと嬉しくなってしまうのは私だけでしょうか?
昨今はどうしても形だけが残り、その奥にある自分の心を伝えることが少なくなってきているようです。
一枚の葉書きに相手の消息を尋ね、自分の消息を伝える。
それは、「例えお互いに離れたところに暮らし、普段は会う事が出来なくても、ちゃんと貴方のことを思っています。」ということを伝え合う、大切な心の交流なのではないでしょうか。
見慣れた文字、添えられたちょっとした一言に、相手の心が垣間見えるのです。
師が走らなければならないのは、ひょっとしたら、この心を届けて回るためなのかも?
人それぞれに、それぞれの師走があり、今年の反省、来る年への希望を心に抱きながら慌ただしい日々を送るのも、また趣きがあるのではないでしょうか。
これをお読みの皆様が、素晴らしい新年を迎えられますことをお祈りしながら、今年最後の歳時記とさせていただきます。(善)
(撮影:脇坂実希)