「カーン カン カン カン カン カン カン カン カーン」
桃の節句となり、陽春に向かおうとする時、本宗の大切な行事のひとつである河内回在が始まります。人と人との別れ、また出会いの季節。八尾に始まり東大阪へと。
さらに春の彼岸を挟んで、桜が咲き、咲いた桜はたちまち散り、それとともに4月の舞台は晩春の色濃くなってゆく、東大阪から羽曳野へ。
5月は、1年中で10月とともに最もここちよい月で、田植えの月ということで早苗月とも言われています。ご本山では万部法要で賑わい、その後、交野、寝屋川に始まり、最後に堺と廻ります。
今から約四百年前、時の法主第三十六世良説道和上人の時代。大阪夏の陣で徳川家康公が道和上人の徳を聞き、国を治める要を教わり、国家安泰を祈願し、道和上人は大念仏会を執り行なわれました。
その後、家康公より三百石の寄進の申し出があったが、上人はこれを辞退し、その代わりに念仏勧進に全国を廻らせてもらう許可を頂かれました。開祖良忍上人が鳥羽上皇から賜わった鏡鉦を打ち鳴らして、全国各地を念仏勧進されました。
ここ3年、コロナという疫病の影響で、お廻りを取りやめたりと、寂しさを感じていました。今年こそはと、この念仏勧進をと願うものです。
そして「一人一切人 一切人一人 一行一切行 一切行一行」一人の称える念仏の功徳が皆の者、全ての人へと、全ての人が称える念仏が一人の人へと願う。先祖さんに感謝し、生かしていただいている事を歓びたいものです。
「カーン カン カン カン カン カン カン カン カーン」
(良)
(撮影:脇坂実希)