天高く馬肥ゆる秋
・・・実りの季節です。
近年は食べ物に季節の感覚がなくなりつつありますが、何故かこの季節になると食べ物が美味しくてなりません。
自分が健康でいられることに感謝をしながら、今夜の夕食のおかずに何が並ぶのかを期待して仕事に向かいます。
なんでも医学的には、春と秋は体の調子が良くなって食べ物の消化吸収が進みやすくなるとのこと。
「なるほど、それでお腹が空きやすくなるのか。」
変なところで納得をして、ついつい食べ過ぎると・・・
僧侶が食事を頂くときに五観という短い経文を称えることがあります。その第四番目には、
「正(まさ)しく良薬を事(じ)として形苦(ぎょうく)を済(すく)わんことを取れ」
という言葉が出てきます。
「薬を決められた量、決められた時間にきちんと飲むように、食事というものも決められた量、決められた時間にちゃんと食べ、太り過ぎたり痩せ過ぎたりしないようにしなさい」
ということ。
実りの季節に食べる我慢をするのはちょっと辛いですが、食欲があるということは、元気だということ。そして共に食事を楽しめる人がいるということ。
食欲とは自分を含めた周りの環境が満たされているからこそ湧いてくるものなのではないでしょうか。
そして何より食事の素材を提供して下さる方々や美味しく調理して下さる方々がいて初めて食欲を満たすことができるのです。
食事を始める前に自分の幸せに感謝をして、その幸せが周りのすべての人々にも行きわたりますようにと願いながらお箸を取るように心がけたいものですね。(善)
(撮影:脇坂実希)