八尾の御回在

3月3日、御出光の河内御回在。 河内の市街地を回り、青葉が芽吹く4月下旬。 河内御回在は山場を迎える。

八尾市、恩智谷。

ここは河内でありながら連日坂道が続く難所である。

朝護孫子寺の山の反対側、生駒山系の南西麓からはじまり、高安山を10日間かけて十三峠の神立へと移動する。 その間、毎日坂道を上っては下りるを繰り返す。

名残桜もいつしか青葉に変わり、冬物の衣がとても暑く感じるようになり、夏衣が待ち遠しくなる頃である。

新緑に包まれた坂道の上から大阪平野を見おろした景色は素晴らしく、天気が良ければ阿倍野ハルカスまで一望できる。

4月末、初夏の風の訪れとともに、河内御回在は万部法要のため、10日余りの休みを迎える。 移りゆく季節に追われるようにして八尾の御回在は過ぎていく。

「いつまでこの坂を上ることができるかな」

私が黒衣の僧中で回り始めた頃、紫の導師さんがふと呟いた言葉を今、紫の衣を着た自分が心で呟いた。(明)

(撮影:脇坂実希)