御帰院

新芽がまだ息吹かぬ寒き中 白い息残る3月初旬の御出光

万部法要前 木々には青々とした若葉が揺れ 過ぎれば道側の田に水輝る…

5月末 河内を巡った御本尊 本日無事に御帰院なされます

 

御帰院は 町村をお回りになった御本尊が 御本山にお帰りになる御姿を云います

 

バス移動になった今でも お供する供奉員の万歩計は 一日何万歩にも及ぶ日があります

下駄の歯もすり減り 一足 二足…と履き替える事がある 厳しい行脚です

 

「カランコロン カランコロン」

 

「カン カン カン」という鉦の音と相まって 村内に響く下駄の音

この一音一音は 「徳積み」の証

供奉員が積み上げる「徳」が 護持する御本尊のお頂戴を通じて お檀家の皆さんに渡って行きます

 

「お元気で…」 「来年もよろしくお願いします」 「お身体気をつけて」…

これは御回在「お回り」の合言葉

 

掛ける言葉に 受ける心あり

御回在によって 御本尊を中心に お供する供奉員とお檀家さんの心が一つになって行きます

 

この良縁の道を巡り 今日御帰院の日を迎える御回在

 

本堂に入り 「総くくりのお勤め」をもって 長かった河内御回在は閉じられます

このお勤めをもって お檀家皆さんからお預かりした「徳」は 御本尊の御慈悲の御心をもって

全ての人々に回し向けられます

 

より良き未来を願いて…(溪)

(撮影:脇坂実希)