私たちの暮らしのなかでもっとも身近な仏様といえば、お地蔵様ではないでしょうか。
正式には地蔵菩薩といいます。
菩薩とは、自ら悟りを求めて修行しつつ、苦しむ私たちを救ってくださる存在です。
お地蔵さんといってすぐ頭に思いうかぶのは、お堂に祀られている観音菩薩や勢至菩薩などと違い、村の境や辻に立ち、宝珠や錫杖を持ったお坊さんのような姿ですね。
同じ菩薩なのに、地蔵菩薩だけがそのような姿をされるのには理由があります。
外見を私たちに近づけることで、親しみやすくしているからです。
立派なお堂ではなく、田んぼの脇の小さなお堂や、村の辻などに立っておられるのも、いつでもどこでも私たちのすぐ近くで見守ってくれているからです。
また地蔵菩薩は、大地の徳の象徴であります。大地は私たちの生活の基本。豊かな大地なくしては作物も育ちません。大地のように、私たちを守ってくださるのです。
その地蔵菩薩の役割は、釈迦が没して弥勒が出現するまでの間、迷える人々を救うことです。
釈迦も弥勒もいない世の中の救い主として、あらゆる場所に姿を変えて現れては救う。
時には閻魔の姿になって地獄で苦しむ者を救うのです。
そう、閻魔は地蔵菩薩の化身だったのです。
その時、その人にとって一番の救いとなる姿をして現れるのが地蔵菩薩です。
実生活において、私たちは様々な悩みや困難に出くわします。
そんな時、自分を導いてくれる人や、叱ってくれる人がいたら、それはお地蔵さんの化身かも知れません。
また自分が他人を助けている時、お地蔵さんが背中を押してくれているのかも知れません。
皆さん、どうか身近におられる地蔵菩薩を探してみてください。
たくさん見つけることが出来た人は必ず幸せになれますよ。(明)
(撮影:脇坂実希)