お正月

今年最初の融通歳時記へ、ようこそお越し下さいました。

季節感溢れる写真と共に、布教師会一同、皆様の心に残る言葉を紡いでまいりますので、本年もご愛読下さいますよう、宜しくお願い申し上げます。

「初詣のこころ」

お正月を迎えた多くのお寺では「修正会」という法要を執り行います。

総本山大念佛寺の本堂でも、元旦の朝5時より毎年厳かに勤められております。

これは、旧年中に犯した罪科を悔い改め、新しい年を迎えられたことへの感謝と、今年一年の五穀豊穣や除災与楽、そして安寧無事を祈る法要です。

皆様もお寺へ初詣にお参りした際には、感謝のお念仏をお唱えすることと共に「世界平和」や「交通安全」、また「身体堅固」や「病気平癒」等の願い事をされると思います。

ただ、せっかく「世界平和」をお祈りしても、他国の人々の命を踏みにじる事をいとわない人が一人でもいれば、世の中の平和は保つことが出来ません。

また、ご自身の「病気平癒」をお祈りするのであれば、お医者様や看護師の皆様自身も健康でなければ、診察や治療をして頂くことは出来ません。

さらには、事故が起きないように「交通安全」をお祈りし、自分がしっかり安全運転をしていても、まわりに交通ルールを守らない人が一人でもいれば、安心して車に乗ることは出来ません。

このように、ことわざに「袖振り合うも他生の縁」(「袖すり合うも~」等の諸説あり)と申しますように、私たちは深い時間を重ねてきた因縁や宿縁の結果として、誰でも、どんなときも、そしてどんな場所でも「おたがいさま」のつながりの中で生きています。

私たちが日々「融通念仏」をお唱えするのも、自分だけにとらわれることなく「さまざまな繋がりに生かされている自分」に目覚める事も、大切にしているからなのです。

「心配事」が次から次へと湧き起こるこの世に於いて、単に自分の幸せだけを祈るのではなく、また、他人の幸せを奪い取るのではなく、みんなが揃って共に幸せになれるように「心を配る」努力を積み重ねてゆけば、幸せはすぐそこに広がってゆくのです。

皆様自身がその「願い」をかなえる為に、仏様やご先祖様に心を配る「お誓いする」ことが、初詣の心だと言えましょう。

皆様にとって今年一年が幸多き一年となりますように私も心を配り、しっかりと「修正会」をお勤めさせて頂きました。(洋)

(撮影:脇坂実希)