早いもので、今年も残すところあと2ヶ月を切りました。
年々、1年が過ぎるのが、早くなっていくように思います。
慌ただしく過ごしておりましたら、あっという間に時間だけが過ぎ、
「いったい何をやってたんかなぁ?」と言わなあきません。
ここらで一旦立ち止まり、“日にちのことを見つめ直す”、
そんな良き機会を持ちたいものです。
この時期、浄土教系寺院では『十夜会(じゅうやえ)』と呼ばれる法要が行われます。
無量寿経に説かれております「この世において善を修すること十日十夜すれば、
他方諸仏の国土において善をなすこと千歳なるに勝れたり」の教えを実践する法要です。
仏様の国では誰もが容易に行える善き行いも、
私たちの住む世界ではなかなか難しいということです。
それだけ善き行いには、価値があると。
この法要の歴史は古く、今から600年近く前に遡ります。
室町時代、平貞国(たいらのさだくに)という方が、京都の真如堂(真正極楽寺)において
十日十夜の念仏行を修したことが始まりとされています。
その後、御土御門(ごつちみかど)天皇が鎌倉の光明時に『十夜会』の勅許を出され、
全国の浄土教系寺院へと拡がっていったといわれております。
本来でしたら、旧暦の10月5日夜に始まり15日朝まで、十日十夜にわたり
お念仏をお称えする法要です。
現在では、10月から12月にかけて、一日から数日に短縮されて行われることが多いようです(大念佛寺では、毎年11月14日厳修)。
晩秋から初冬にかけて行われますので、農作物など自然の恵みや七五三など子供の成長、
また今年お世話になった方々など、感謝のあふれる時期とも重なります。
『十夜会』は、無事過ごさせていただいていることを阿弥陀様に感謝する、
「報恩感謝」の法要でもあります。
お念仏をお称えすることにより、気付かずに過ごしてきたことに気付かせていただく、
そこに感謝・喜びの世界が広がっております。
ここらで一旦立ち止まり、お念仏をお称えし、“日にちのことを見つめ直す”。
『十夜会』を、そんな良き仏縁のひと時にしていただけたらと思います。(光)
(撮影:脇坂実希)