新年あけましておめでとうございます。
季節の行事や話題を様々な視点から皆様にお届けするこの連載企画も、おかげさまで2度目のお正月を迎えることができました。
毎回多くの皆様に御愛読くださり深く感謝申し上げます。本年も宜しくお願い申し上げます。
さて、今回のテーマは「初日の出」です。
元旦の初日の出には、拝むことで年神様をお迎えし、五穀豊穣や一年の幸せをお祈りするという意味があります。
毎朝、自然と昇る太陽に、ついつい「あたりまえのこと」と心にとどめず、時間に追われて生活していますが、実際のところ、太陽がないと毎日の生活は1日たりとも成り立ちません。
この際ですので、太陽の光について考えてみたくなりました。
光の速さは1秒間におおよそ30万キロなのだそうです。また、地球から太陽までの距離は約1億5千万キロメートルありますので、私たちが普段眺めている太陽から降り注ぐ光は、太陽から約8分前に放たれた光だということです。
では、光が1年間に進む距離(1光年)はどれくらいでしょうか。
30万km/秒 × 60秒 × 60分 × 24時間 × 1年(365日) = 9兆4608億kmとなり、1光年は= 約9兆5000億kmということになります。
ここで何をお伝えしたいかと言いますと、もし9兆5000億km離れたところから大きな天体望遠鏡を使って地球を眺めれば、ほぼ一年前の地球の姿を見ることが出来るのです。
10年前なら95兆キロ、100年前なら950兆キロ離れた宇宙から地球を眺めますと、同じく当時の姿をそのままに見ることができるのです。過去の様子が見えますから、亡くなられたご先祖様のお姿をもしかすると目にすることが出来るかもしれません。
現在は常に過去とつながっていますし、未来にもつながってまいります。
この途切れないつながりが今日に影響を与え、この一瞬を常に支えているのです。
仏教ではこれを「融通無碍」と申します。今があるのは滞ることのない過去と未来へのつながりのおかげ様です。
ということは、未来の人々が過去を振り返ったときに、いまを生きる私たちに対して「おかげさま」と言っていただけるようなつながりを築けているでしょうか。
未来にも幸せを届けるには、今目の前の一瞬をおろそかにしないこと。さらに過去にも感謝をわすれないことではないでしょうか。
元祖良忍上人が阿弥陀如来様から頂かれた「一人一切人 一切人一人 一行一切行 一切行一行」の御文である「弥陀の妙偈」にも、何も今を生きる人々とのつながりだけではなく、現在、過去、未来に続くつながりが滞ることなく、いつの時代にも変わらない「お互い様」の思いが込められているのです。
私たちの毎日の生活の基礎を造り、毎朝見上げる太陽から降り注ぐ光にも、手を合わせる余裕と感謝を忘れたくないですね。
さあ、今年はどんな一年になりますでしょうか。
皆様にとって今年一年が幸多きよい年になります様に、心より祈念申し上げます。合掌(洋)
(撮影:脇坂実希)