融通念佛宗において一年の間に執り行われる法要は幾つもあるが、とりわけ万部法要(5月1日~5日)、元祖忌(2月26日)、中祖忌(7月7日)、再興忌(3月5日)は多数の僧侶が出仕する特別な法要である。
管長猊下をはじめとして、本山職員はもちろんのこと、各教区からも出仕があり、さらには楽役、座奉行等々沢山の僧侶が一堂に会して執り行われる。
その中で、管長猊下と同じ緋の衣を纏い法要に出仕されるのが、紫金一臈職、すなわち紫金職の長老である。
法要にあっては管長猊下の名代として副導師を務めることのできる唯一人。
この名誉ある職は、毎年2月に任命され、翌年2月までの1年を務め、入衆から法臈の長い僧侶から順番に任命されることとされている。
なりたいと思っても、そうそう簡単にはいかないのである。
時には管長猊下よりも年長の方が務められることもあり、まずは健康で長生きすることが大切なのである。
また紫金職は、とりわけ5月に執り行われる万部法要には5日間本山に詰めなくてはならず、高齢者であっても体力が必要となってくる。
そう考えると、僧侶たるものは死ぬまでが修行であるということを痛感せずにはいられない。
一、掃除。二、勤行。三、学問。
僧侶としての日々の法務をこなしながらも、さらなる精進を重ねて高みを目指して行く。
年齢とともに体は衰えては行くが、気力は常に溢れて青年のごとくあり続けること。
法要の折、緋の衣を纏いしずしずと歩まれる長老様の後姿を拝ませていただくとき、一歩一歩の歩みの中に僧侶としての覚悟、そして歩んでこられた生涯が深く刻まれていることを感じ、今の自分がまだまだ青い雛であることに改めて気付かせていただくのである。(善)
(撮影:脇坂実希)