不思議なもので何故か秋のお彼岸になると赤い花が景色に彩を添えてくれます
言わずと知れた曼殊沙華 私のお寺の近くでも10日ほど前から咲きだしました
お寺から見下ろす田んぼの景色は黄金色
たわわに実った稲穂は重たそうに大きく頭を垂れ… それでも何とか倒れずに立っています
「もうすぐ刈り入れだなぁ…」そんなことを考えながらもその畦道に真っ赤な曼殊沙華が彩を添え、黄色と赤のコントラストに「これが日本の原風景なんだ」ということを思い出させてくれます
この花が咲くと稲刈りももうすぐです
ただ時代の流れか私のお寺の周りも新興住宅の建設が進み田畑が次々に姿を消しています
あと10年もすればこんな素晴らしい風景も見られなくなってしまうかもしれません
その黄金色に実った稲穂の横を秋祭りの神輿が子どもたちを先頭にして「ワッショイ!ワッショイ!」と通り過ぎて行く光景はいつまでも残していきたいものです
ところが大変なことに今年は9月4日の台風21号でご神木が倒れそれが神社の社務所を半壊させてしまいました 今地元の大工さんが一生懸命修復の最中です
自然とは美しい姿を私たちに見せてくれると共に厳しい試練も与えるのだと改めて思い知らされました
昔から私たち日本人は四季の移ろいの中に自然を愛でる感性と厳しさに耐え忍ぶ心を培ってきました
自然の起こす現象には逆らいようがなく例えどんなに科学が発達して台風の進む向きを予測できても方向を変えたり消滅させることが出来ないように私たちは目の前に起こる現象をただじっと見ていることしかできないのです
自然を愛でるときは喜びの心自然に耐えるときは忍耐の心
人間が生きてゆくということはこの二つの心の繰り返しなのかも知れませんね