先日(6月21日)、京都は大原へ、元祖聖応大師良忍上人様のお墓参りに寄せていただきました。
御廟があるのは、三千院の横を少し上った来迎院。本堂の横を過ぎて石畳を行くと、三重の石積みの御廟が杉木立の中にひっそりと佇んでいます。
時刻は午後三時を回ったあたり、布教師会の皆さんと手を合わせていますと、近くで雷鳴が聞こえてきました。
空は今にも大粒の雨が落ちてきそうです。
「そういえば、今朝の天気予報で山沿いでにわか雨が降るとか言っていたような…」
案の定、お墓参りを済ませ、来迎院の本堂でお勤めをしている最中に、とうとう降り出して来ました。
激しい降りの為に外に出ることもできず、薄暗くなった本堂の中から外を眺めていると、近くの山の斜面に霧が立ち込め、騒々しいはずの雷や雨音までが、森閑とした景色に溶け込んで、あたかも神仙の世界が広がっているような錯覚を覚えました。
「確かにここには仏様がいらっしゃる。」
不思議な霊気のようなものの存在がありました。
九百年の昔、良忍御上人がこの地に移り修行に励まれたのも分かる気がいたします。
残念ながら今の私は、深山幽谷の地に独り住まいするなどということはできません。どうしても人恋しくなってしまうだろうからです。
「修行が足らない!」
そう言われてしまえばお終いですが、それでもたまにこの様な体験をするのは、世塵に汚れた自分の心を洗い清める良い機会。
激しい雨音に、滝に打たれる己の心を観ていました。