宇宙ステーションが飛んでいく

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何日か前のこと、夕方に家内が意気込んで言いました。
「今夜、宇宙ステーションが見られるねんて!」
「何時ころ?」
「今夜9時前くらいからやって。西南西から北東に飛んで行くねんて。」

昔天体少年だった私の眠っていた夢が広がります。
「私も見よう!」
 
なんでも、宇宙ステーションが日本で見られる時間も、全てスマホで知ることが出来るんだそうです。凄い!・・・というよりは、最近のスマホは何でもありですね。時代遅れのオジサンにはちょっとついていけません。

少しうす雲がかかってはいたのですが、良く見えました。
山の端からス~っと見え始め、音も無く(当たり前か)スムーズに上空を過ぎ去っていく。確かに普通の人工衛星とは異なり、普通の光点ではなく光点をわずかに横に伸ばした感じに見えるので、すぐに宇宙ステーションだと分かります。

そこでふと思いました。
「今、宇宙ステーションに乗っている人には、見上げている私たちのことは見えてはいないのだろうけれど、こうして私たち夫婦のように、飛んでる姿を沢山の眼が追いかけていることに気付いているのだろうか?」
「宇宙飛行士の眼からは、地上に暮らす私たちなど微生物くらいにしか見えてはいないんだろうなあ。」

当然そう考えると、私たちの日々の暮らしなど実にとるに足らないものに思えてきます。その取るに足らないような暮らしの中に喜怒哀楽があり、笑ったり苦しんだり腹を立てたりと、忙しいものです。

大宇宙の中の、本当にささやかでささやかすぎる人生。今悩んでいることなど、何ということも無い。流れ星が流れるほどの時間に過ぎないのだと、思い直してみれば、少しは心も軽くなるのでは?
…なんて考えてるうちに宇宙ステーションは北東の空のかなたに消えて行ってしまいました。

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