人を見る眼

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先日、ある方の御通夜に寄せていただきました
若い頃から、何かとお世話になった方で、もう御声が聴けなくなるかと思うと本当に寂しい限りです

若い頃より、様々な体験を重ねられ、直にいろいろと伺ってはいましたが、その一つ一つは独立したもので、私の中で何一つ繋がりを持っていませんでした

通夜の折、息子さんが挨拶に立たれ、改めてその体験談を、御家族から伺った時、私は自分の考えの浅さに大きな衝撃を受けたのです

「人生の物語は、その人の家族にしか見えないものがある いくら近くにいて、お話をたくさん聞いたとしても、他人には決して読み取ることのできない機微がある…」

今回、息子さんの話を伺い、私はこの方の一面しか見ていなかったことに気付かされました。一つ一つのお話が一本の糸に繋がり、この方の心の中までも見えたような気がしました
そして改めて、この方に出会えて良かったと思えました

「運心観法(うんしんかんぼう)」という言葉があります
心を運んで法を観よ 自分の「心」を観察する対象にまで持って行き、そこにあるものを心で観察しなさい という教えです。

その人がする「行い」には、一つ一つに意味がある ぼーっと見ていては、大切な何かを見落としてしまうかもしれない

勿論、簡単にできることではありません
そこには自身の人生経験や、読書、映画鑑賞といった疑似体験など、様々な事を積み重ね、自分の心に深みと広がりを与えていかなければ、相手の心を自分の中に映しだすことなどできないのですから

私たち布教師には、とても大切な言葉であり、生涯をかけて心していかなくてはならない教えなのです

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