先日、たくさんの花束を抱えて歩く高校生たちを見かけました。
「ああ、もう卒業式のシーズンなんだ!」
思わず彼、彼女たちを目で追ってしまいました。
ここ数年はコロナ禍の中で思うような学園生活ができず、思い出をたくさん作ることもできなかったのではないかな?・・・などと、つい同情してしまいます。
私が高校を卒業したのはもう40年以上前のことになりますが、その時期は大学受験の最中で、卒業式のことなど全く記憶に残っていません。
ただ、最後に担任の先生が述べられた言葉は、今でも忘れられません。
「お前たち、このクラスの友達の顔をようく見ておけ。これから先、もう二度と顔を合わせることが無い友が必ずいる。」
まだ18歳の学生にそんなこと言われても、「ああそうですか。」などと判るわけがありません。ですが、それから一年ほどの間に私は二人の友人を亡くしました。
その時初めて、卒業式の時に聞いた恩師の言葉を思い出したのです。
「本当にその通りだった。」
一年後に開いた同窓会にこの二人の顔はなく、40年以上たった現在、卒業式以来一度も顔を合わせていない友人が何人もいます。
同じ学び舎で同じ時間を過ごすという事は、一本の樹に鳥が集まり一夜を明かすことと何ら変わりはないのです。
朝になれば鳥たちは思い思いの空へ飛び立ってしまいます。
人間も同じで、思い思いの目標に向かって歩いていかなければなりません。二度と後戻りのできない道であり、その途中で病や事故で倒れてしまうかもしれません。
私もこの歳になってつくづくそんなことを考えるようになりました。
「一期一会」
出会いと別れはそれぞれ。そしてそれがいつやって来るのかも判りません。
それだけに、今の出会い、そして縁というものを大切にしてゆかねばと思うのです。