時節

何故か…ゴジラ

今、私はお盆のお参りに必要な、経木塔婆を書いています。
これは、お盆にお参りに寄せていただく家々のご先祖様の戒名をお塔婆に記し、お仏壇に祀っていただくのですが、枚数が千枚近くになるのです。

大変です。
聞くところによりますと、昔から経木塔婆を書かない土地もあるようで、羨ましい限りです。
数が多いので、もちろん一気に書き上げることは不可能で、何日にも分けて書いていきます。
というのも、腰と肩と眼に負担がかかり、とりわけ老眼が進んでからというもの疲れ方が半端ありません。
そしてこれを書いていますと、細かい木くずが出ます。机の上を汚したくないので、いつも古新聞を机上にひいて、その上で書いていきます。
何日も何日も同じ古新聞を広げて書いていますと、頭の中に新聞紙の記事が刷り込まれていきます。今年の古新聞は、一面ハリウッド版ゴジラの映画広告。

…ゴジラ!

「ちょっと映画を見に行ってきます。」
家内にそう告げて向かった先は映画館。
何十年ぶりかのゴジラを見てきました。…この歳で。
それでも、映画館の大画面で見るゴジラは迫力がありました。荒唐無稽なストーリーではありますが、まあ怪獣映画というものはそもそもこれが当たり前なので、むしろ娯楽映画としては十分に楽しめました。
嬉しかったのは、あの渡辺謙が芹沢博士役(一番最初のゴジラで、オキシゲンデストロイヤーなる秘密兵器でゴジラを葬った科学者)で出演しており、しかも彼だけは「GODZILLA」と発音せずに「ゴジラ」と日本語で呼んでいるところが、日本人としてのゴジラへの思いが込められていて、共感を覚えました。
こんなことを書いていると、オタクと間違われるかも知れませんが、あくまで普通のオジサンです。

それはさて置き、この様な娯楽映画でも勉強になることがあります。
それは、ストーリー展開の上手さ。観客を飽きさせず、ストーリーの中に引きずり込むテクニックというものは、私たち布教師にとっても原稿の構成や、話術に参考になるところがあります。
そんな意味では、布教師というものは、どんなところにも観察眼を向けているものなのですね。
出演者の表情や言葉、細かい演技に至るまで、その人物の心の中をついつい覗こうとしている自分がいます。
長い間に身についた習性なのでしょうか。

それにしても、恐るべし、新聞広告!
…と、言うところで、塔婆書きに戻ります。
またしても取り留めのない「つぶやき」になってしまいました。すみません!

中の島中央公会堂

4月5日 大阪は中の島の中央公会堂にて「花まつり市民大会」が行われました
毎年 大阪市佛教会が中央公会堂において行っているイベントです

春爛漫
大川沿いの桜が満開となり 川には花見の屋形船(!?)が何艘も繰り出し お花見を楽しんでおられました
「船に揺られて花見も良いものだなぁ」
などと思いながら 公会堂に寄せていただきました

実に立派な建物です
歴史的にもそうですが あの何とも言えない重厚感! 
初めて寄せていただいたのですが この様な立派な建築物が大阪にあるということは 素晴らしいことだと思います
しかも現役! 外から眺めるだけじゃなく ちゃんと今でも使用されているところが素晴らしい

この日はここでお花まつり
お釈迦様がお生まれになった日が4月8日ということで 灌仏会を催されたのですが 今年は融通念佛宗の担当ということで 1教区法蔵寺の大東師が中心になって走り回っておられました
私はといえば 式典の最後に短い法話を頼まれ 安請け合いをしたものの これほどの規模になるとは思ってもいなかったので…

「ん~、今さら帰られへんわなぁ…」
頭が痛い お腹が痛い 家族にアクシデント…等々
色々な言い訳を考えて 逃げようかとも思ったのですが 用意していただいたお弁当を完食してしまった状況ではそれもできず 「大老連(大阪市老人クラブ連合会)」の幹部の方々を前にして 頑張ってまいりました

これほどの規模のホール(1300人程収容)となると 普段の寺院での布教と異なり 聴衆一人一人の表情が見えにくく お話の間合いが取り難いのではないかと心配しましたが 思ったよりも皆さんの反応が良かったので 気持ちよくお話が出来ました

お話しというものは 演者が一方的に話すのではなく キャッチボールなんですよ
聴衆が反応をして 初めて次の言葉を話すことが出来るのです
その意味で 実に気持ち良くお話が出来ました 皆様に感謝です

4月早々 貴重な体験をさせて頂きました
これから3年 布教師会会長の立場で引き続き頑張って参ります どうぞこれからもご支援の程よろしくお願い申し上げます

ところで 帰ってから家内に聞いたのですが ここのレストランのオムレツが大変美味しいとのこと この次は衣ではなく服を着てオムレツを食べに行きたいものです

春霞(はるかすみ)

この季節の海が好きです
正確には神戸の山手から見る瀬戸内海が好きです
太陽の光を反射する海に春霞がかかり ぼうっとした景色の中を船が行き交う…

春の海 ひねもすのたりのたりかな

この詩のように 何とも言えないゆっくりとした時間が流れ その景色の中に自分が同化していくように感じられ 何時間でも海を見つめて ぼ~っとしていたくなります

或る檀家様が 須磨に住んでおられ 月に一度お参りに寄せていただくのですがこの季節になると マンションの5階から眺める瀬戸内の景色が 何とも言えずお勤めが終わってから お勤めの時間よりも長くベランダから海を眺めさせてもらっています
 
景色というのは クリアーに見えることも良いのですが 少し霞がかかったように見える方が 一枚の絵画を見ているようで 不思議な落ち着きを感じることがあります
 
人間の生活もまた同じで 何もかもが見えすぎてしまうと かえって疲れてしまうこともままあるように思えます
ほんの少しの内緒 薄いベールがかかっている方が その人をより魅力的に見せたり 見たくないところを上手く隠してくれる効果があるのではないでしょうか

まっ それはともかく 頭が疲れたとき 精神的に「疲れたな…」と思ったとき 一度この季節の海を眺めて「ぼけ~っ」とするのも良いのでは!?

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