御回在

初心忘るべからず 

御回在に行って参りました!

本当に久しぶりになります。

1年半ぶりになりますか?

新型コロナウイルスが蔓延して、緊急事態宣言が出てからというもの、宗教界においても大変な影響が出ることになりました。

何といっても宗教行事が思うようにできないということが一番でしょう。

これはどこの宗派をとっても全く同じ条件です。

とりわけ私たち融通念仏宗にとっては、御回在という本山と末寺檀家を直接結ぶ行事が不可能になるという、本当に辛い日々が続きました。

ようやく9月の末から末寺での回向のみという変則的な形で再スタートすることができました。

まずは小さな一歩から・・・といったところなんですが、唱導師でお供をさせていただく私としては、久しぶりの御回在ということで、感覚が随分と鈍ってしまっていることに気付かされました。

加えて、いつも通りの流れとは異なるため、その都度自分の中で再確認しながらのお供でした。

早い話が完全な初心者。

もちろん、今までも常に緊張感をもってお供をさせていただいていたのですが、さらなる緊張感を強いられることになりました。

還暦を過ぎて胃が痛くなる緊張感!

体に堪えますね。・・・でも、この緊張感が改めて私の中の忘れていた「初心」というものを思い出させてくれました。

世阿弥の「風姿花伝」には「初心忘るべからず」という有名な言葉がありますが、この「初心」という言葉には、「初めての時に感じた、恥ずかしい思いや悔しかった思い」という解釈もあるそうです。

初心者の時に味わった色々な失敗や悔しさを覚えているからこそ、人間は成長することができるのだということ。私たちは常にこの「初心」というものを忘れずにいたいものです。

歳とともに「初心」は少しずつ薄れていくものです。そして、慣れて緊張感が薄れた時にこそ大きな落とし穴が待っているもの。

今回の御回在では本当に大切なことを教えていただきました。

御帰院

これを書いている前日(5月29日)、今年度河内御回在の千秋楽を迎えました。

御回在とは、御存知の方もおられるかと思いますが、私どもの宗派にとって最も大切な行事であり、1年の約半分の日程で続けられる行事であります。

これは、本山の御本尊が直接末寺の檀家に、それも一軒づつお参りして行くという、気の遠くなるような行事なのであります。

これは、融通念仏宗が、ほぼ大和と河内にしか末寺を持たないという特殊性のなせる業で、他の宗派では、本山から直接檀家参りをするなどという離れ業は不可能といってもよいでしょう。
総勢11人で回り、そのうち僧侶が7人(唱導師,目代、収納が各1名、僧中4名)、在家の方々(大和禅門講)が4名となっています。

この唱導師は、本山布教師のみが務めさせていただける役目で、管長様の名代として大変に名誉ある、そして重責のポジションであります。
昨日は、その河内御回在58日間の最後を締める日でありました。

歴史的なお話は、また別の機会にさせて頂きますが、実はこの御回在の初日(御出光)と最終日(御帰院)は布教師会長の役目であります。
とりわけ、御帰院には大勢の方々の出迎えを受け、大変晴れがましいのですが、最後に本堂で、集まられた方々にお礼の挨拶をするという緊張の極みが待っております。

今年で4年連続、毎回同じ挨拶をすることもできず、しかも出迎えの中に私の家内の姿まで混じっているではありませんか!

「やりにくいわ~・・・。」
まあ、何とか挨拶を終え、私の血圧は一気にダウンしました。

しかし、しばらくのお休みの後、9月の上旬からは、大和の御回在が始まります。
長年唱導師をしておりますと、一緒に回るメンバーが、少しづつ入れ替わり、若い顔ぶれが入っては、なじみの顔が引退する。自分だけがそのまま残っていくような、少しメランコリーな気分になったりもします。
果たして、何歳まで御本尊のお供ができるのか?
先のことは全く見えませんが、この重責だけはしっかりと果たしながら、会長職を全うしていきたいと思っております。

肌寒くなってきました

これを書いている今、外気温は17℃。

室内もけっこう寒いです。

昨日は天候にも恵まれ、心地よく一日を過ごせましたが、今日は朝から雨が降り出しました。

 

雨が降り出す前にと思い、庭に植えているトマトを収穫に行ったのですが…

頃合いに赤くなった実を採ってみると“ショック!!!”

なんと そのうちの半分がナメクジに食べられているではありませんかっ!

心の中まで冷たい雨が降り出しそうになりました。

 

この時期(10月初旬)は、日中の気温と朝晩の気温差が大きいので、体調の維持が難しいです。

それでも負けじと“スッポンエキス”を飲みながら頑張っているのですが、雨で気温があまり上がらず。鬱陶しい空を見上げていると「もうすぐ寒い冬がやってくるんだなぁ…」と、心の中まで気温が低下してきそうです。どうやら、スッポンエキスも 心の中までは元気にはしてくれそうにありません。

 

そんな中、思わず心の中がほっこりするような出来事がありました。

昨日、本山の御回在にて、あるお宅に寄せていただいたとき、一人の幼子が待っていてくれました。

まだ2歳にもならない男の子が、若いお母さんの膝に座り私を迎えてくれたのです。

「もう何年前になるだろう…!?」

自分の子供たちが幼かった頃の事を思い出し、思わず「こっちへおいで!」と、自分の膝をたたいてその子を招いたところ、素直に私の膝に座ってくれたのです。

 

私以上に家族の方々が驚いておられました。

「初めての方に こんなに抵抗なく膝に座りに行くようなことは初めてです。」と お祖母さんがおっしゃっていました。

すぐに母親のところに戻ってしまいましたが、私の膝にはその子が残していった体温が、しっかりと残っていました。

幼子の心は、まるで仏様のような温もりを持っています。触れるものみんなに春の暖かさを与えてくれます。

それは、固く凍り付いた世界を春の日差しが溶かしていくように、固まった心を解し、本当の暖かさとは何かを教えてくれているようです。

「このお宅は、いま暖かい心に満ちているのだろうな。」

そんな思いで昨日一日を過ごさせてもらいました。

寒い冬を快く思わない日もありますが誰もが、暖かさが心に沁みる季節なんです。

 

寒くなるからこそ、本当の暖かさを見つけられる…

寒くなるのも良いものです。

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