時節

目出度くもあり 目出度くもなし

数日前 還暦の誕生日を迎えました

子供の頃は還暦というと随分老人に思えたものでしたが いざ自分がその歳になってみると…

若い!

いや恥ずかしながら歳相応の精神年齢に 未だ到達していないことに愕然とします

「もっと落ち着かなければ…」などと 自分に対して叱咤をしてみるのですが無理です

ただ毎朝鏡で見る自分の顔に 程よく老化した皮膚と白髪とが見て取れ 間違いなく年を重ねてきたということを自覚させられます

いったい人の落ち着きとは何なのでしょうか!?

恐らく人の持つ理性の強さなのではないでしょうか?

何事にも己を抑えることのできる「強い理性」こそが 高度な精神ともいうべきものなのでしょう

今の私は強く抑えることと どこかでその反動として発散させることがうまくバランスをとれていなければ 心がポッキリと折れてしまいそうになります

そのあたりがまだまだ修行の途中ということなのでしょう

「ちょうど暦も一回りして赤ちゃんに戻ったことですし 改めて人生の修行のやり直しと行きますか」と言いながら 誕生日には赤いチャンチャンコならぬ 赤いTシャツを着て赤ワインで一杯やってしまった私は 未だ修行とは程遠い生活をしております

60回目の誕生日 無事に迎えて目出度くもあり 精神未だ成熟せず目出度くもなし

お寺のまわりは紅葉真っ盛り

12月に入り いよいよ今年も最後のひと月となりました

今の時期 私のお寺の近くを通る国道168号線を 生駒に向かって遡っていきますと 街道沿いの紅葉が一番奇麗な色付きを見せてくれています

もちろん これを見るために大勢のハイカーがやってこられますが 多くの方は時期的に早く来すぎてしまい(大体11月中旬から下旬) 本当に美しく見える今の時期(11月末か12月初め)を外してしまわれるのが なんとも勿体ないのです

実は昨日(11月晦日) この道を通ったのですが 朝日に輝く紅葉がなんとも美しく青空に映えておりました

そしてこの時期を越えると 山々の木々は急にその色を落とし やがては暗い冬の色合いに姿を変えていくのです

あたかも山々が冬眠に入るように…

今年はコロナに揺れましたが ニュースではあちこちに熊が出没し 人に危害が及んでいると聞いています

私のお寺でも 今年は久しぶりに狐の姿を見ました

狸やイタチはよく見かけるのですが やせ細った狐がカラスとエサの取り合いをしていたのには驚きました

狐を見たのは本当に久しぶりでした 人前には滅多に姿を見せない狐が お寺の裏庭に姿を見せたということは 山の実りが少なくなっているということなのかも知れません

いずれにせよ今年もあとわずか 来年こそは私たちにとっても 森の動物たちにとっても実りの多い一年になってほしいものです

朝の釣鐘

私のお寺の釣鐘は 毎朝6時に鳴らします

それもラジオの時報に合わせてつく為 こんなに正確な釣鐘はありません

あまりに正確すぎて「全自動鐘撞き機で釣鐘を撞いているのでは!?」などと疑われたこともあります

いえいえ 完全手動ですが…

数日前の朝のことでした

最初の鐘を鳴らしてすぐに 山門から一人の女性が境内に入って来られました

そして釣鐘堂に立つ私を見て「あら、本当に撞いてはる」

どうやら朝の散歩で歩いておられる方のようでした

「せっかくだから お一つ撞いて見られますか!?」

そう申し上げると、「え、いいんですか!?」と言いながらも

やる気満々でやって来られ「どうぞ」と私が促した途端 力一杯に釣鐘を撞かれました

真横にいた私の耳の鼓膜が破れるのではないかと思うほどの音でした

これで気が済んだのか 釣鐘から離れて 今度は私が撞くのをじっと見ておられました

私が撞くと そのあまりにもの音色の違いに 今度は感心され

「ああ、そうやって打つんですね!」と仰ったのです

私の音色は 丸く包み込むような音色になります

決して大きくはなく 耳に響きすぎることもありません

強く打てば強く響き 優しく打てば優しく響く…

当たり前のことですが 人間にとってこれほど難しいことはありません

誰もが大きく鳴らしてやろうと意気込むものです

そして本当にいい音色というものは 聞いている人の耳に心地よく響くものなのです

当たり前のことですが 釣鐘の音色は撞くたびに少しずつ異なってきます

全く同じ音色を出すことはできません

それは晴れの日 曇りの日 雨の日…

そして春夏秋冬によっても異なってきます

「上手く撞けた!」そう思えることはなかなかありません

ですが 毎朝の日課として 1日のスタートにこの釣鐘を聴いている人の耳に心地よく響いてくれるように いつも心がけて撞いています

そう釣鐘一つにも奥深いものがあるのです

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