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「沁みる夜汽車」の物語

以前から気になるテレビ番組がありました

NHKBSプレミアムで放送されていた 「沁みる夜汽車」という番組

今はもう放送されていないと思いますが それをまとめた本は出ています

御存知の方もいらっしゃるかも知れませんが 鉄道にまつわる一人の人生を描いたドキュメンタリー番組で もちろん実話です

私は布教師をしている関係から お話の素材を探すために日々苦労をしておりますが その意味でこの番組は大変勉強になる番組でした

歳のせいか番組を見ていて涙腺が緩むこともあり その時々の主人公の人生が自分の心の中に沁み込んできます

出版された本のあとがきに 「乗っている人たち一人ひとりに 沁みる話があるんでしょうね」とありました… 

そうなんです! 私たち布教師はその沁みる話を読み取っていかなくてはいけないのです

人の心に沁みわたるお話というものは 上辺だけを見ているだけでは決してできるものではありません その意味でこの番組は 主人公の心の奥の襞まで描いてくれるので 大変勉強になるのです

人との出会い ひと言の重み それはその時には気が付かなくても 時がたって振り返った時に 必ず心のどこかに刻み込まれているものです

この番組は 私自身の記憶の中の忘れていた「大切な出会い」や「大切な言葉」を もう一度探し出してくれるのです

そして「一人ひとりに沁みる話がある」ということは 誰もが得難い体験や 人生を変えた言葉 出会いといったものを持っているということ その得難い経験に 私たちはどこまで気付き 自分のものとできているか!?

私自身 随分と無為に過ごしてきたように思えてなりません

まだ私が二十歳代のことだったと思います

今は亡き布教師の大先輩が 「沢田君 布教師にとって忘れてはならんことは 運心観法(うんしんかんぼう)やで 心を運んでそこに在る法をよく観なさい」と教えてくださったことがありました

その言葉は 今の私の座右の銘になっていますが それでも何も気づかずに素通りしてしまっていることがなんと多いことか

この「運心観法」こそが 心に沁みる経験を引き出す鍵なのです

そして この沁みる経験を重ねていくことこそ 人生が深まっていくということなのではないでしょうか!?

緊急事態宣言発令中のとある昼下がり 徒然なるままに…

メイストーム

気が付けば世間は5月

いや 気が付かなくとも5月になりました

5月といえば「万部おねり…」 残念ながら 今年も山内限りの法要となってしまいました

昨日 理事の北川師と一緒に 管長様と紫金職様の処へお見舞いに行って参りましたが 本当なら賑やかな本山内がひっそりと静まり返っておりました

それとは反対に 外の景色は春の嵐

メイストームとはよく言ったものですが それって外国のことでは!?

本山近くに止めてあった自転車が将棋倒しになるは 輪袈裟がクルクル回るは 着物の裾が捲れあがって 随分昔に流行った「Oh! モーレツ!」状態になるはで 歩きにくいことこの上なし

まだお昼の時分は雨が降ってなかったので助かりましたが 午後からは本当の嵐

自坊に戻ってしばらくすると 雷は鳴るは 雨は叩きつけるように降るは 飼い猫のサクラは 雷に驚いて部屋の中を右往左往したかと思うと突然姿をくらますはで 大変でありました

そしてそのサクラが姿を見せた時には 嵐も収まり雨も峠を越えていました

動物というのは面白いものですね

さて問題はその翌日 つまり今朝

境内は手の施しようもないほどに ちぎれて飛んだ木の枝やら葉っぱの類 植木鉢は軒並み飛ばされて転がっておりました ゴミバケツまでがころころと転がっている始末

5月早々お掃除に本腰を入れなくてはならなくなりました

掃いては散らかり 散らかってはまた掃くの繰り返し

賽の河原とはこんな感じなのかな!?

人の心の中も大きな嵐 小さな嵐が時折過ぎて その都度「修行」という名の箒でもって 掃き清めていきます 清めることをあきらめてしまったら 私たちは汚れる一方

まだ汚れがこびりつかないうちにまめにお掃除しましょう

外は再び強い風が吹いています

窓から見ると 遠く北摂のほうには強い雨が降っている様子

こりゃあもう一日掃除を延ばしたほうがよさそうな感じかな

焦らず 慌てず 今日は一休み

またしても…

世間ではコロナウイルスが猛威を振るっています

心配していたことがとうとう現実になってしまいました

緊急事態宣言が発令された為 今月(4月)26日の定例布教が無くなってしまいました

4年前から4月の定例布教は 西山浄土宗の布教師様をお迎えして 本宗布教師との共演をして頂いていたのですが 昨年に続き 今年も見送らざるを得なくなってしまいました

とりわけ今年は 西山浄土宗の教学部長様が 直々にお話して頂けることとなっていたので大変楽しみにしていたのですが 来年までお預けとなってしまいました

皆様ご存じの通り わが融通念佛宗は河内と大和周辺に末寺があるだけで それほど大きな宗門ではありません

それだけに 小さな殻に閉じこもっていては大きく発展することはできず 井の中の蛙になってしまいます

今から20年ほど前 時の会長の福井邦典師が西山浄土宗のご本山を訪ねられ 交流が始まりました 当時は先方の布教研修会に参加させていただき 聴聞するだけのものだったのですが 受けた衝撃は大変なものでした

何しろ布教師の人数だけでも我々の五倍近い規模で それが全国におられるわけですから大したものです あまりに広いので 全国を四つの布教区に分け活動をしておられるとのこと

それから十年の時が過ぎ この布教研修会において 初めて融通念佛宗が一座の布教をさせてただけることになりました その最初にさせていただいたのが 実は私だったのです

はっきり申し上げて 過去においてこの時ほど緊張の極致に至ったことはありません 控えの間において出していただいたお茶を何杯おかわりしたことか

布教師として初めて人前でお話しした時にも この様な緊張はありませんでした

「この一座が失敗すれば 今後の交流が無くなるかもしれない!」

「沢田君に任せる」 会長の一言により 逃げる間もなく私に決まってしまいましたが 私の心臓が暴発するのでは…と思うくらい重責を感じていました

今となっては良き思い出ですが…

その後も順調に交流が続き 私が会長を拝命してから西山浄土宗の布教師様にも大念仏寺でお話をしていただけるようになったのです

つくづく思います

何事も段階を踏んで 細くとも長く長く続けていくことが やがては太い交流につながり 信頼関係が築かれていくのであると

今年は残念でしたが まだまだお付き合いは始まったばかり

来年こそは沢山の聴聞客をお迎えし 盛大に定例布教ができることを願ってやみません

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