夜が長くなりました

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最近夜明けが遅くなりました

この時期の朝6時 釣鐘を撞くとき 外はまだ薄暗いです

6時前に外に出て 山門を開け ポストに入った新聞を取り 明るければそれを読みながらラジオの時報を待ちます

風が冷たい朝は 柱に隠れるようにして 風を避けて時間を待ちます

私が子供の頃は お寺にはまだ釣鐘はありませんでした

釣鐘が出来たのは小学校五年生の頃

私の師匠が朝6時に釣鐘を撞くようになり およそ35年位前から 私の仕事になりました

もしも釣鐘が無かったら 朝はゆっくり寝ていられるものを…

なんて考えたことも昔はありましたが 今はこの釣鐘のお陰で規則正しい生活ができるのだと 感謝しております

そして毎朝変らないこのルーティンを通して 私は季節の移り変わりを肌で感じるのです

鼻をムズムズさせながら時報を待つ春

すでに日が昇り 蝉の鳴き声の中で鐘を打つ夏

少し冷たく感じる風が落ち葉を運んでくる今の季節

やがては吹き付ける北風の中で 暗い中を足踏みしながら時報を待つ冬…

雨の日 風の日 照る日 曇る日

それぞれに 一日の始まりの「けじめの鐘」をついています

その音を聴きながら 色々な方々が色々な場所で 色々な思いで生活をされている… そう考えると 朝の釣鐘ってどこか素敵に思えてきませんか!?

夜が長くなると ついつい色々なことに思いが飛んで 今夜もすぐには眠れそうにありません

或る若いカップルにgood luck!

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先日 二年ぶりに神戸のワインハウスまで ドイツワインを買いに行ってきました

スタッフの方々とは顔見知りなので 久方ぶりの邂逅と お互いの元気な姿を確認出来てテンションが上がり 次から次へと試飲!

程よくアルコールが回ったところに 一組のカップルが来店

二人で店内に並べられたドイツワインを見て歩き 一本を手に取ってカウンターへ

客:「すみません これを贈答用に箱詰めしていただけますか」

店員:「熨斗はどうされますか!?」

客:「えっと 紅白の無地熨斗で」

店員:「どのような場面でお使いですか!?」

客:「あの… これから彼女の両親に挨拶に行くんです」

店員:「では 無地熨斗は具合が悪いかと思いますが…」

私:「上は御挨拶と書いて 下はフルネーム」

思わず口出しをしてしまいました

これから彼女の実家へ行こうとする若者が 緊張の面持ちでワインを選んでいる姿が 何故かいじらしく思え 応援したくなってしまいました

今から思えば オジサンの余計なおせっかいだったのですが

それからはスタッフの方も含めて

「頑張って!」「リラックスして!」「最初が肝心!」

みんなが若いカップルを応援しました

そして私は「最初の挨拶にワインを贈られるなんて なんて幸せな親なんだろう…」 少し羨ましくも思えました

今日の挨拶は必ずうまくいく… そんな気がしたんです

たまたま入ったワインハウスの たまたま居合わせた人間から こんなに応援をもらって うまく行かないはずがない

「多生の縁」という言葉がありますが この時その場にいた人間すべてが若い二人を応援するために集まっていたのかもしれません

そしてお店から出ていく二人に向かって スタッフは「有難うございました」ではなく 「頑張って!」「行ってらっしゃい!」

私は「good luck!」

朝の釣鐘

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私のお寺の釣鐘は 毎朝6時に鳴らします

それもラジオの時報に合わせてつく為 こんなに正確な釣鐘はありません

あまりに正確すぎて「全自動鐘撞き機で釣鐘を撞いているのでは!?」などと疑われたこともあります

いえいえ 完全手動ですが…

数日前の朝のことでした

最初の鐘を鳴らしてすぐに 山門から一人の女性が境内に入って来られました

そして釣鐘堂に立つ私を見て「あら、本当に撞いてはる」

どうやら朝の散歩で歩いておられる方のようでした

「せっかくだから お一つ撞いて見られますか!?」

そう申し上げると、「え、いいんですか!?」と言いながらも

やる気満々でやって来られ「どうぞ」と私が促した途端 力一杯に釣鐘を撞かれました

真横にいた私の耳の鼓膜が破れるのではないかと思うほどの音でした

これで気が済んだのか 釣鐘から離れて 今度は私が撞くのをじっと見ておられました

私が撞くと そのあまりにもの音色の違いに 今度は感心され

「ああ、そうやって打つんですね!」と仰ったのです

私の音色は 丸く包み込むような音色になります

決して大きくはなく 耳に響きすぎることもありません

強く打てば強く響き 優しく打てば優しく響く…

当たり前のことですが 人間にとってこれほど難しいことはありません

誰もが大きく鳴らしてやろうと意気込むものです

そして本当にいい音色というものは 聞いている人の耳に心地よく響くものなのです

当たり前のことですが 釣鐘の音色は撞くたびに少しずつ異なってきます

全く同じ音色を出すことはできません

それは晴れの日 曇りの日 雨の日…

そして春夏秋冬によっても異なってきます

「上手く撞けた!」そう思えることはなかなかありません

ですが 毎朝の日課として 1日のスタートにこの釣鐘を聴いている人の耳に心地よく響いてくれるように いつも心がけて撞いています

そう釣鐘一つにも奥深いものがあるのです

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