一斉に

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先日のことです。奈良県のとあるお寺でお話を始めた時のこと

ちょうど始めてから五分くらい経ったころに 本堂中に緊急地震速報が鳴り出しました

普段こういった場所では 携帯電話はマナーモードにされているものですが 緊急地震速報だけは そんなことお構いなしに 大きな音で危険を知らせてくれます

ただ やはり時と場所を選んでほしいもので 「さあ これからお話の本題に入っていこうか…」というところで 本堂の中にいる人たち全員の携帯が一斉に鳴り出すと(私を含めて) これはもう収拾がつかなくなってしまいます

確かに揺れはしたものの大したほどのものではなく すぐに収まりはしたのですが 本当の意味でのざわつきがその後に待っていました

まず数人の僧侶が 「大丈夫ですか?」などと横から声をかけてくる

「大丈夫、話が始まったところだから、邪魔をしないで下がっていて。」

そう声をかけて下がってもらったところに、お参りの皆さんが、皆一斉に携帯電話を取り出し、自宅に電話をかけ始めました。

揚げ句に「ちょっと家が心配だから 戻ってきますわ」などと 数人がいそいそと本堂から退出する始末

「もう揺れも収まったから大丈夫ですよ」と言ってはみるものの どなたも聞いて下さってません

何とか静けさを取り戻したのはそれから10分ほど経ったときでしょうか

つくづく「人間とは心の定まらない生き物であるな」と考えさせられました

「身はここに 心は信濃の善光寺」

ほんの些細な出来事で 体はお寺の本堂にありながら 心は自宅に舞い戻っているのですから…

私たちの心とは それほどに自由気ままに動き回るものなのです

そして それだけに自分の心をしっかりと捕まえて行くことが 修行だと言えるのです

12月は言わずと知れた「師走月」

心が定まらないと思わぬところで‘へま’をするかもしれません

皆さん くれぐれも心に用心をしてお過ごし下さいね

本山のお十夜

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ちょっと昔話を一つ と言っても30年ほど昔の話なんですが…

毎年11月14日は 総本山大念佛寺で「十夜法要」が行われます

私が布教師会に入らせていただいた頃は 現在と異なり 夕方5時からのお勤めでした

勤行やベテラン布教師によるお説教が三座あり10時過ぎからお参りの方々と小豆粥を頂きます

その頃は今よりもずっと寒く しかも夕方からの法要だったので いくらストーブを焚いても広すぎる本堂の中では全く効き目はありませんでした

お参りの方々もストーブの周りに集まって暖をとりながら それでも凍えるので 本山が用意した毛布にくるまって 手を合わせておられたことを覚えています

布教師会の末席に加わらせていただいて 自分以外の方々にビクビクとしていた頃の事 布教師会の部屋にいると緊張感に潰されそうになるので 本堂に座らせてもらうのですが こちらはこちらで寒さに苦しめられるという 自分の居場所を探すのに大変苦労をしていました

そして11時ごろからは 私のような布教師の卵に 本堂での一座が与えられるのです

持ち時間は一人30分 薄暗くて寒い本堂の中 それでもその中に数人の参拝者がおられました

今から思えば 本当に有り難いことです 寒さに凍える本堂の中 それも深夜に 私のような駆け出しの若造のお話を聴いてくださる方がいる 

「未熟者ではあっても 今夜この方々のために 自分にできる精一杯のお話をしよう」

そう誓って 一座を務めていました

今となっては良き思い出ではありますが その頃の経験が今の私のベースになっていることは間違いありません そして100人中99人が寝ていようとも たった一人の方が耳を傾けてくださっているなら その方のために全霊を傾けてお話をしようと心がけてきました

今の時代 自分を磨かせてもらえる場所をそっと提供してもらえるようなことは 随分と難しくなりました その意味で 現在の若手の布教師さんは可哀そうに思えますが どうか自分で勉強の場所を見つけて 努力を惜しまず進んでいただきたいと思います

まだ私が20代のぴちぴちの若者だった頃の懐かしい思い出でした

一匹の猿と家内

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この時期になると思い出すことが一つ

もうかれこれ三年くらい前になるかと思います

朝 家内がお寺の裏手に洗濯物を干しに行ったと思ったら 慌てて帰ってきました

「猿がいてるっ!」

一瞬 何のことか理解できずに 「へっ?」

「猿、サル、さる~!」

「人の顔を見て 猿 サル 言うなっ!」

「違うねん 裏の柿の木に猿がいてるっ!」

とりあえず裏に行ってみると 確かに一匹の猿が 柿の木から美味しそうな実を一つ手に取って 逃げていくではありませんかっ!

見ているうちに 近くにあった電信柱に スルスルっとよじ登り 下で騒いでいる私たちを高みの見物

「さすが猿だけあって電柱に上るのは上手やな」

感心して眺めていると 私の横から家内が猿に向かって 「う~っ、う~っ」

「あんた何を言ってるの?」と言うよりも早く 電柱上の猿が 「ウッ、ウッ、ウッ」

「あぁ… 猿もちゃんと会話ができるんや… いやいやいや! あなた いつから猿と会話ができるようになったん?」

「いや 何か反応があるかなぁ~と思って」 私の家内は 面白い発想をする人ですその発想と行動が やや単調になりがちな家庭生活に 今までに無かった色合いをもたらしてくれました

「これは当分笑えるな」

猿はそのまま電線伝いに逃げていきましたが 一匹の猿にとった家内の行動に あらためて人間の生活の中には「一服の清涼剤がとても大切なんだ」ということに気付かされました

結婚して四半世紀は経ちましたが、私は全く退屈をしておりません

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